はじめに
統合失調症の症状のひとつに「被害妄想」があります。
誰かに悪口を言われている気がする、監視されている気がする――そんな感覚に悩まされるのは、とてもつらいことです。
僕自身も、被害妄想に振り回されていた時期がありました。今回はその体験と、どうやって向き合ってきたかを正直に書いてみたいと思います。
同じような症状に苦しんでいる方に、少しでも「自分だけじゃないんだ」と感じてもらえたら嬉しいです。
被害妄想とは?
統合失調症の被害妄想にはさまざまな種類があります。たとえば、
- 近所の人に監視されている気がする
- 知らない誰かが自分の悪口を言っている気がする
- 家の中に盗聴器があると思ってしまう
- SNSやテレビが自分を操作していると感じる
こうした妄想は、本人にとってはとてもリアルに感じられます。「そんなの気のせい」と言われても、それができないのがこの病気の難しいところです。
実際にあった僕の被害妄想体験
僕が経験した被害妄想の中で、一番つらかったのが「友達が表では普通に接してくるのに、裏では悪口を言っているんじゃないか」という疑いでした。
直接何かを言われたわけではないのに、ちょっとした笑いや会話がすべて「自分をバカにしているんじゃないか」と思えてしまう。
そのうち、周囲の人みんなが信じられなくなっていきました。
会話しているときも、心のどこかで「どうせ裏では笑ってるんだろう」と疑ってしまう自分がいました。
頭では「考えすぎかもしれない」と分かっている。でも、感情がついてこない。そんな日々が続きました。
被害妄想とどう向き合ってきたか
僕がこの状態から少しずつ抜け出せたのは、いくつかのきっかけがあったからです。
まずは薬をきちんと飲むこと。
医師と相談しながら、自分に合った薬を続けていくうちに、少しずつ妄想に振り回される時間が減っていきました。
そしてもうひとつは、「これは病気なんだ」と意識すること。
被害妄想が出てきたときに、「これは脳の不調が見せているものだ」と一歩引いて見るように心がけると、だんだんと落ち着ける場面が増えてきたんです。
さらに、僕はA型作業所に通うことで、生活リズムを保っています。
作業中に妄想が浮かんでくることもありますが、鼻歌を歌ってリズムに乗りながら作業することで、集中を保ちやすくなりました。自分なりのやり方を見つけたことで、気持ちも少しずつ前向きになれた気がします。
同じ悩みを持つ人へのメッセージ
被害妄想を抱えていると、孤独感や不安に押しつぶされそうになります。
でも、まず伝えたいのは――あなたは一人じゃないということです。
統合失調症の症状として、被害妄想はよくあるものです。焦らなくて大丈夫。波はありますが、ゆっくりでも回復していくことは可能です。
つらいときは、無理にがんばらなくていい。病気なんだから、休んでいい。
あなたが今できることを少しずつやっていけば、それで十分です。
まとめ
統合失調症の被害妄想は、自分ではコントロールが難しいつらい症状です。
ですが、薬の力や病気への理解、生活リズムの安定などを通じて、少しずつ向き合っていくことができます。
僕もいまだに完全に消えたわけではありませんが、「これは妄想かもしれない」と気づけるだけで、心が軽くなります。
このブログを読んで、「自分だけじゃなかったんだ」と感じてくれる人がいたら、心から嬉しいです。